仕事でデータ移行の研修に関わることになって入手した本。いわゆる大規模プロジェクトで行われるデータ移行の本で,内容的には残念ながら薄いが,最低限の話題はおさえられていると思う。私にとっては十分である。著者に感謝,感謝。
この本が薄い内容になってしまうのはある程度仕方ない。データ移行が開発プロセス上の問題になるような大規模開発はそもそも数が少ない。そのうえ,データ移行は開発の最後の一大イベントであって,そんなに誰もが経験するものではない(数年規模の大規模開発だと,途中で要員が交代になってしまうことも良くあるのだ)。
私は新人時代に,証券システムの夜間バッチ移行に立ち会ったことがある。課長が「では,●●バッチを実行します」と言ってキーボードをたたいた時を思いだす。スーパーロボットの合体シーンのような,独特の緊張感,高揚感がある。何度も立ち会うと寿命が縮まりそうだ。
AWS公式トレーニングには,「Migrating to AWS」などという講座がある。ただ,この手のベンダ系の移行トレーニングは「わが社のツールをお使いいただくとー」系の話題が中心になっており,現実の移行における困難は文章に出てこない。
現実は甘くないのだ。
きちんと移行の経験を持った人が,自身の経験を踏まえて講師をしないと単なるSalesになってしまう。
早く担当できるようになりたい講座の一つ。