K's Atelier

個人的な学習記録

数式が言葉だということ

数学セミナー2023年8月号に「強非周期タイルの発見」(秋山茂樹)という記事がある。
内容は,発見者による以下のサイトに記載されている。
An aperiodic monotileAn aperiodic monotile
1枚のタイルで非周期的にどこまでも平面を埋めることができるという,この手のパズルが好きな人には驚愕の発見だ。発見過程でコンピュータを駆使しているところに現代的な雰囲気があるなーと思う。

で,それとは別に「数式は言葉なんだな」と感じたことがある。
数学セミナーの記事中に以下の記述がある。

数論を学んだ人には分かりやすいのだが,六角格子の頂点間距離はx^2+xy+y^2という整数係数二次形式の平方根としてよい。(p.40)

数論はまったく勉強していないが,私はこの式に見覚えがある。永井保成「代数幾何学入門」のKlein-Du Val特異点の話ででてくる,「17.2 A型の場合」の不変式環だ。

これは,例9.2.5(2)の不変式環であり,三つの単項式
 t_1 = x^n , t_2=xy, t_3=y^n
で生成される。(p.208)

そのまんま巡回群の話か。確かに周期タイルの話題なんだから巡回群が隠れていてもおかしくない。図鑑でしか見たことない虫を道端で突然見つけた感じ。
改めて,「意味は分からないけど幾何学の図形とかグラフって綺麗」といろいろ眺めるのと,「意味は分からないけど数式って綺麗」といろいろ眺めるのは,どちらも数学を楽しむのに大切だと分かった。
図形も数式も,同じ見た目をしている,というただそれだけのことから気づくことがあるのだ。
こういう発見は,NHKスペシャルリーマン予想の回でも語られている。
NHKスペシャル 魔性の難問 リーマン予想・天才たちの闘い|番組|NHKアーカイブス

リーマンのゼータ関数に現れる「ゼロ点」はなぜか一直線上に並び、その間隔はウランの原子核のエネルギー・レベルの間隔と同じ?!

別の研究分野でそれぞれ作られた数式=言葉が,研究分野を超えてつながることがある。

数式の意味が分からなくても気にせず,いろんな数式を書き写してみて,ほほーんとか眺めているだけで,
いつか意味の方が向こうからやってくる。子供になったつもりで,図鑑を眺めてると思えばいいんですよ。

数論もやるか・・・