K's Atelier

個人的な学習記録

不破雷蔵氏のコメントに学ぶ,議論の一貫性

「国民をバカにしすぎ」鈴木財務相「トリガー条項発動すると買い控え起きる」発言に巻き起こる国民の怒り(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース

ガソリン価格対策に対して,感情的な批判をする人が多い。輸送量にかかってくるのでみんなうれしくないのは良く分かるが,「馬鹿にしてる」とか言っても何も効果がない。

そんな中で,不破雷蔵氏のコメントが非常に美しいので思わず複写。

内閣府の消費動向調査によれば、乗用車の世帯別普及率は全体で単身世帯49.1%・二人以上世帯78.5%ですが、人口5万人未満の市町村では単身世帯73.5%・二人以上世帯91.8%。自動車が公共交通機関が充実していない地方で生活必需品であることが分かります。そしてガソリンは危険性の高さから、基本的に個人ベースでの備蓄はほぼできません(消防法令などで規制され、規制内の量でも保管は勧められていません)。 電気と同様、利用する立場からは必要時に常に供給されているのが前提での利用のため、見送りに値するほどの社会的影響が生じるような買い控えや駆け込み需要が生じるとは考えにくく、また仮に生じたとしてもそれは一時的なものにすぎません(電気に駆け込み需要や買い控えが生じるでしょうか?)。 また消費税減税否定云々とありますが、ならば逆に消費税増税において、同様の論議が生じないのは不思議なところではあります。

コメントの焦点は「買い控えが発生する」という話に,「そもそもガソリンは買い控えができない」という指摘。こういう「たしかにそうだった」という勉強ができるコメントはうれしい。ただ,買い控えが実際に生じるのは,輸送費の影響を受けている他の商品,ということもある。それでも買い控えが発生するのは生活に当面必要のない物だけだろう。影響を考えれば,生活必需品の価格上昇を優先的に抑えるべきだ。

 

氏の発言には加えて,消費税への指摘もある。

「消費税を引き下げると、引き下げにともなう買い控え、将来、税率を元に戻す場合、消費が減退するなど、副作用が大きい。経済対策については、こうした恒久財源を使うのではなく、機動的な財源を考えていかなければならない。少なくとも、いまの段階で消費税をさわることを考えるべきではない」

このコメントに対して,ならば消費税増税論に対しては同様のデメリットを言わないのはなぜか,という指摘も美しい。減らしたのを戻すとき,ではなく,ひたすら増税しているのだから,より強く「買い控え」論が出ていい。過去の増税に対して「買い控え」の影響はどの程度あったのか。限定的なのであれば,消費税の一時的減税による買い控えの影響も限定的なはずである。

 

対称性,一貫性を求める主張が大切。