K's Atelier

個人的な学習記録

Category Theory on Youtube

ふと気になって,「Category Theory」で調べてみたら,いろいろ見つかった。

 

Category Theory 1.1: Motivation and Philosophy - YouTube

"Category Theory for Programmer"の著者による解説。著者ではない人による解説も見つかった。

 

Categories 1 Introduction - YouTube

数学的に深いところまで解説されている(気がする)動画。たくさんあるのでさわりしか見ていないのだが,参考になる。圏論の概念は,「一周してもどってきて,改めてまとめると関係が分かる」感じなのだ。本を読むより最初は動画で全体像をつかんだ方が良い。

 

AWSを眺めていると,「従来のような,構成要素を網羅的に把握する」のは不可能だと感じる。個々のサービスが勝手に改変されていくので,「時間をかければ全体が分かる」ようにはならない。

圏論のような「全体的な関係を掴む」という理解の方法が,AWSのようなWebサービスの理解にも応用できる気がする。

Introduction to Commutative Algebra

日本語で「アティマク」と呼ばれている,有名な本がある。

 

 

代数幾何学を学習する人にとっては重要な演習書だ。この演習書,有名なだけあって,みんなが解答例を公開している。これが,数学を眺めて遊ぶ上で最高の材料になっている。

https://dangtuanhiep.files.wordpress.com/2008/09/papaioannoua_solutions_to_atiyah.pdf

https://byeongsuyu.github.io/_pdf/Atiyah_Macdonald_Supplement.pdf

http://iso.2022.jp/math/atiyah-macdonald.pdf

 

もっと入門的な線形代数群論などでは,解答例が収められている演習書もあるのだが,さすがにアティマクが扱う可換代数の書籍になると,解答例が収められている演習書は見つからない。

 

解答例を書籍中に収めることには良い点も悪い点もある。

良い点は,「証明の手法を学習できること」。数学は分野ごとに証明の流儀がある。このパターンの時にはこの方法を使う,というものだ。それを知らないと,何をやってよくて,何をやってはいけないのか自体が分からない。

悪い点は,「記述された証明以外を考える努力を奪ってしまうこと」。解答例をなぞることで,とりあえずの疑問は解消してしまうので,じっくり考えなくなってしまうことがある。

 

結局もっともよい方法は,「複数の解答例を吟味すること」だ。数学科のゼミでは,これを実際に行っているわけだ。だが,独学では簡単に複数の解答例を並べて比較できない。この点で,アティマクは非常に恵まれていると思う。

 

川崎徹郎,「位相空間 例と演習」

 

位相空間の話題が出てきたときの辞書にしている本。

位相空間を前提としている数学書では,位相空間の話題は第1章で必要最小限の解説がされていたりするのだが,「本書ではこう扱う」程度の記述なので,初学者ではイメージがつかない。

位相空間 例と演習」では,写像や分離公理の図が非常に分かりやすい。演習の解答例も丁寧に書かれているので,素人が独習するには最適だと思う。

 

集合や位相は他の数学分野の基礎なので,それ自体は勉強していても楽しくない,という意見もあるようだ。私にとって位相はアセンブリ言語のようなもので,むしろ高級言語を分解している感覚があって楽しい。

Klein-Du Val特異点関連論文

永井保成,「代数幾何学入門」の中にある3つのテーマの一つ,特異点論の最後の話題がKlein-Du Val特異点

以前調査したときはろくに資料が見つからなかった気がするのだが,なんとなく探しなおしたら論文がひっかかった。以前はADE型特異点の話しかみつからなかったような・・・

 

https://homepages.warwick.ac.uk/~masda/surf/more/DuVal.pdf

http://www.mi.uni-koeln.de/~burban/singul.pdf

https://people.bath.ac.uk/ac886/students/JamesADE.pdf

du Val singularity - Wikipedia

ADE singularity in nLab

 

本書は,「楽しみながら峻峰を目指す」の言葉通り,最終的には研究論文レベルの入り口まで話題をもっていく。素人の私には「いったん用語を頭に入れたあと,気になった用語を検索して,出てきたものを眺める」のが中心になる。これでも十分楽しめる。

 

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YouTubeでも見つけた。

SO(3,R)の有限部分群

永井保成,「代数幾何学入門」p.197を眺めると,定理16.3.1のところで,「SO(3,R)の有限部分群は以下のいずれかと同型である」ということで,最初に巡回群,そのあとに正2面体群などが出てくる。

ふと思ったのだが,正2面体群(要は平面図形)をくるくる回転させるだけなのは巡回群なのでは。ひっくり返しを認めずに,回転しかしないことにすればよい。なので,多面体群を分解すると,小さな巡回群が出てくる。

言葉で書くとややこしいが,サイコロを横回転だけさせる,とかいうことを見れば,誰でも直感的に分かる話だと思う。

ここまで考えて,有限部分群の分類の話というのは,「直感的には誰でも分かる『多面体の回転運動のパターン』が,本当はいくつあるかを厳密に説明する」話だということに気づいた。昔から,「立方体の回転の組合せは全部でこれだけしかない」という説明を読んで「なんで"これだけしかない"って言えるんだろう」と感じていたので,やっともやもやが晴れた感じがする。

線形代数学習動画

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MIT OCWに,まるごと線形代数の講義がある。これだけできればとりあえず線形代数で困ることはなさそう。講義は英語だが,非常に聞き取りやすい。線形代数自体が具体的な数学だということもあって,参考書籍がなくても分かる。

大学時代に教わったときもこのくらい具体的な講義だったはず。自分が学生時代にいかに不真面目だったかを反省する。

 

youtube.com

こちらはアニメーションで見せてくれる。眺めているだけで楽しい。

 

youtu.be

この動画はものすごくわかりやすい。板書がきれいなので板書だけで分かる。しかも英語の発音もクリアで,英語に不慣れでも聞き取れる。