いまやっているのはあくまでも講師準備のほんの一部なので,こんな速度で講師準備が完了するわけはない。実際に登壇するころには,現在身につけている知識はもう古くなっているのだ。登壇前に総ざらいが必要だ。
こういった陳腐化が激しい技術の講師準備に対しては,ビジネスサイドの無理解が激しい組織にいると厳しいものがあるだろう。彼らにとって,工数に表れないものは「存在しない」ことになっている。講師各人が努力していることは計算されていないあたり,自分以外の苦労に共感するのがいかに難しいかがよくわかる。彼らはいっぱいいっぱいなんだろう。ただ,理解力にはお互い限界があるだろうから,各人の裁量を認めていければよいのだろう。
私も,受講者に共感するのがいかに難しいか,痛感している。それでも常々感じるのは,「自分が今,新人として就職活動したとして,彼らと同じ会社に入れる自信が全くない」ということ。「今どきの若者は」という話題がときどき出てくるが,私がもし彼らと同一条件になったら,とても彼らにはかなわない。
私たちが何十年もかけて作ってきた「高速道路」に,彼らはある日突然入ってくるのだ。よく生きてるもんだと素直に感動する。なので,彼らには私たちにもできなかった「空中走行車」「立体機動装置」乗りこなしなみの活躍をしていただければ嬉しい。
自分もその活躍にあやかって,空中活動してみたいから。