予想された全国学テ「英語」の成績下落 - 希望の英語教育へ(江利川研究室ブログ)2
全国学力テスト 英語で意見表明、正答率わずか4% 「使える英語」に課題 - 産経ニュース
全国学力テストの英語の成績が悲惨だった,という話。
地域差
私が気になるのは,全体の成績が低い,というよりも「地域差が出ている」ということ。お金があるところは義務教育も充実していて,お金が無いところは義務教育であっても教育が不十分。不平等を助長してしまっているのではないか。できる人を伸ばしたい,という気持ちも分からんではないのだが国策としてまずいのでは。
意見表明の能力
特に正答率が低いのが、英語のプレゼンテーションを聞き、話し手の意見に対する自分の考えとその理由を話す設問。正答できたのは4・2%だった。無解答も18・8%に上った。誤答の多くが話し手の意見を十分に踏まえず、自身の感想などを口にするだけにとどまっていた。
意見表明というのは,英語能力以前に主張する能力が重要。
日本語で「私はこう思うんだけど」と即応反射できない人が英語で主張できるわけがない。母国語で主張できない人の英語の意見表明はテンプレに従った,心のこもらない返答でしかない。今の国語の授業中,日本語で主張を戦わせる授業をどれだけしているのか。なぜ,英語で主張ができると思ったのか。このテストを考えた人は,作問にあたって自分たちで主張を戦わせて議論をしたのか?
宿題の量
子供たちの持ち帰ってくる英語(に限らず)の教材も,自分のころからは全く想像がつかない量と難易度になっている。いったい教科書何冊あるんだ,と思ったら,そもそも自習用教材なので授業では使わないものがあるとか。なんだそりゃ。授業では使わず,自宅で親といっしょにやる宿題だけが増える。これは,教員の残業が親に回ってるだけじゃないのか。
最近の親は共働きが普通なので,家で親が宿題の丸付けをするのが当たり前,的な雰囲気はやめて欲しい。これって,教員の仕事を親に流してるだけですよね。だからといって,それだけの仕事を教員がしろ,というのではない。そもそもの仕事を減らさないと解決しないでしょう。
あと「考える力」重視なのか,自主研究の類の課題がとても多い気がする。何でもかんでも自主的な活動にすればよいというものではない。自主研究をさせるのであれば,教員側にファシリテーション能力が必要になる。そうでなければ単なる丸投げ。