K's Atelier

個人的な学習記録

内製化

内製化が成功するかどうかは,技術導入ではなく「継続投資しているか」にかかっている,というお話。

Togetterのまとめの中に,
「正社員を切れる事が必須でもうすぐその時代来ると思うので、内製化に舵を切っていくとは思いますね。」
という主張があったのだが,正社員を簡単に切れるようになると,単に正社員が切り捨てられる社会ができるだけだろう。
IT・コンサルって今のところ花形の業界だけど、自社で内製化しちゃったらそのバブルって弾けるのでは? - Togetter

内製化を必要とする背景は,「社内に蓄積したいノウハウまでアウトソーシングしてしまって,ノウハウが蓄積されない。」ことのはずだ。
簡単に正社員を切ってしまう,ということは実質的にはコンサルやSIerを使う方式と何も変わらない。
開発が終わったら,正社員であろうと解雇する。それではノウハウが蓄積されない。蓄積がないのでいつまでたっても開発するときに苦労する。

AWSでは,内製化支援パートナーという活動を行っている。背景は以下のようだ。

ユーザー企業の「内製化」を進められない理由として下記の声を多く聞きます。

・自社にIT人材がいない
・技術力が足りない
・どの部分までを自社でやるべきか決めきれない

内製化支援推進AWSパートナー | AWS JAPAN APN ブログ

そういう理由の前に,「継続投資していない」という経営判断上の理由があるのではないか。

ほとんどのIT投資はプロジェクト型になっている。期間限定なので,開発期間が終われば「保守コストを下げろ」となる。
その間は「自社にIT人材はいらない」と言っているのだ。
「技術力は要らない」のだ。
「自社でやりたくない」のである。

投資の波があるということは,「その領域では競争しない」と言っているのと同じこと。これ自体は間違いではない。何も考えずに「ITにとにかくお金つぎ込みます」という会社は,全部IT系企業にお金を吸い取られてしまうだろう。

常に年間予算の数十%はシステムの改善投資をする,などという意識を持っている企業でない限り,内製化はしない方がよい。
「それだけの投資を今後永続的に進める理由は何か」を経営者が考えないのであれば,外部の専門家に任せた方がよい。

「どの分野に,どういう理由で継続投資するのか,しないのか」を意識しないといけない。

継続投資は個人的な学習にも当てはまる。
楽器演奏は,間欠的にやってみた程度ではステージに立てるようにならない。
数学も,たまに本を眺めている程度では人に教えられない。
どれも,「ステージ」「教壇」などの遠いゴールを見据えてこつこつ学習しているはずだ。

人も組織も「継続を意識する」ことが大切。