PTA活動を観察していると,組織運営の改善点を考える良い材料になる。
組織化の仕方が不自然なので引継ぎが難しくなる
とある学校では,クラスごとにクラスの代表者を選出しているようだ。それとは別に,学校内行事用のメンバも決めている。で,なぜかクラスの代表者が学校行事のリーダーも務めることになっている。
このやり方の何がまずいか。
「当該学校行事をまったく知らない人が,当該学校行事のリーダーを務めることになる」
このやり方だと,当該学校行事の内容を知らない人ばかりが集まって行事を行うことになる恐れがある。PTA活動なんてそもそもボランティアなのだから,引継ぎがうまくいかないのが普通なのに,わざわざ引継ぎしにくい制度になっているようだ。
こういうときのメンバ選出,リーダー選出は例えば以下のようなものではないか。
- 前年度,当該行事のメンバだった人からリーダー選出
- 前年度メンバの半分は特別の事情が無い限り別の行事のメンバの担当
これなら,ある程度経験者を残しておくことで,引継ぎ負担を減らすことができる。
組織体と連絡制度が設計されていない
「LINEでもいいですけど,LINE使えない人はメールでやりとりしてもいいですけど,メールアドレス教えたくないという人がいたら印刷で連絡します」的な何か。いやはや,難しいところもあるのは承知しているけれど・・・難しいですね。
組織体と連絡制度は最初に統一しないと,次回全員が顔合わせすることすらできなくなる。最初に集まったところで連絡しないと「もう一度集まってください」という声すら届かなくなる。
どうやらPTA関係の組織体は,以下のようになっているようだ(聞いた範囲から想像して)。
- 学校(リーダー:校長先生。メンバ:担任先生)
- PTA本部(リーダー:PTA会長。メンバ:副会長,書記,会計)
- クラス(リーダー:クラス代表。メンバ:クラスごとの保護者)
- 学校行事(リーダー:行事リーダー。メンバ:行事担当)
で,連絡制度としては,以下がある。
- 学校<-->PTA本部
- PTA本部<-->クラス
- PTA本部<-->学校行事リーダー
- 学校行事
本来なら3と4はひとまとめになりそうな気がするが,PTA本部の負荷軽減なのかな。このあたりの苦し紛れ感が,前出の「クラスの代表が学校行事の担当者とは別系統で決まるのに,学校行事のリーダーも務める」というところに表れてしまっているのだろう。
組織体と連絡制度は何となく口頭で説明してはいけない。組織体リスト,連絡手段リストとして枠だけは先に明示しておかないと,何をどこに連絡すれば自分の疑問を受けてもらえるのかが分からないので質問がPTA本部に集中し(あるいは質問が伝播せず),かえってPTA本部の負荷が増える。
PTAの組織体には全体的に無駄が多い。たいてい2名,3名体制になっている。もちろん,ボランティアだからもしものことを考えて冗長化している,というのはわかる。だが,冗長化しなければならない原因が非効率なやり方にあるなら,やり方を改めた方が良いだろう。保護者の数が減ってきて,外国人の方も増えていく状況で,人数をだぶらせながら行事を維持していく,という状況だったら良くない。
責任者を増やすと,個々人の責任感は薄れていくものだ。