K's Atelier

個人的な学習記録

第5講先頭の式のu(x,y),永井保成,「代数幾何学入門」

p.45に u(x,y)の式が書かれている。これの具体的な計算を示す。

 \displaystyle
f(x,y) = x^{5} + x^{4} -2x^{2}y^{2} + y^{4} +2x^{2}y - 2y^{3} -x^{2} + y^{2} = 0 \\
なので,\\
m = 2 \\
f_{(2)} = -x^{2} + y^{2} \\
f_{(3)} = 2x^{2}y - 2y^{3} \\
f_{(4)} = x^{4} -2x^{2}y^{2} + y^{4} \\
f_{(5)} = x^{5}

 u_{(0)}は,本文にもある通り,

 \displaystyle
g = uf かつg_{(m)} = f_{(m)} なので, u_{(0)} = 1

これで u_{(0)}は分かったので,あとは,低次の項から計算していく。

 \displaystyle
f_{(m)} = y^{m} なので, g_{(m)} = y^{m},つまり,g_{(2)} = y^{2}

 g_{(m+1)}は以下の通り。

 \displaystyle
g_{(m+1)} = u_{(0)} \cdot f_{(m+1)} + u_{(1)} \cdot f_{(m)}

ここに,ここまでで明らかになった値を入れていく。

 \displaystyle
g_{(3)} = 1 \cdot (2x^{2}y - 2y^{3}) + u_{(1)} \cdot y^{2} \\
なので,
2x^{2}y - 2y^{3} = g_{(3)} - u_{(1)} \cdot y^{2} \\
よって,\\
g_{(3)} = 2x^{2}y \\
- 2y^{3} = - u_{(1)} \cdot y^{2} \\

上の式から u_{(1)} = 2yだと分かる。

この流れで g_{(m+j)}を計算していくと,順番に,

 \displaystyle
g_{(2)} = y^2 \\
g_{(3)} = 2x^{2}y \\
g_{(4)} = 2x^{2}y^{2}+x^{4} \\
g_{(5)} = x^5+2x^{4}y+2x^{2}y^{3} \\

となる。 u_{(j)}は,

 \displaystyle
u_{(0)} = 1 \\
u_{(1)} = 2y \\
u_{(2)} = 3y^{2} \\
u_{(3)} = 4y^{3} \\

となって,p.45の u(x,y)の各項が出てくる。

感想

昔の数学者はこういう計算をずーっとしていたのだろうか。オイラー先生とか,日の当たる室内で計算にふける感じがする。無限に項が出てくるのが不思議。